【全宅連】銀行の不動産仲介業等への参入反対に関する決議
全宅連
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(会長 坂本 久)は、5月29日、理事会を開催し、銀行の不動産仲介業等への参入反対に関する決議を行いました。
決議文
我々、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会及び47都道府県宅地建物取引業協会は、全国十万会員業者の総意として、以下を決議する。
決議事項
現在自民党の金融調査会内で検討されている、銀行の不動産仲介業の解禁(事業再生や事業承継に関連した不動産の仲介)及び、保有不動産に係る銀行の賃貸業の自由化について断固反対し、これを阻止すること。
趣 旨
〇 今回検討されているのは事業再生や事業承継に関連した不動産仲介であるが、債権者という強い立場にある銀行にこれを認めれば、銀行は、事業再生・事業承継の名のもとに、自身の債権回収や仲介料収入を目的とした不動産取引を思うがままに行うことができ、本来の目的から逸脱した不健全な取引が横行する可能性が大である。
また、保有不動産の賃貸業の自由化についても、100年に一度の世界的な経済危機のなか、賃貸市場に大きな影響を与えることが予想され、我々中小宅建業者としては看過できない。銀行の保有物件は立地もよく、中小の物件を脅かす存在になりかねない。
〇 コロナ問題で経済が低迷する中、我々中小宅建業者の業況は大変厳しい状況にある。こうした苦境はコロナ終息後も当面続くものと考えられるが、このうえ銀行の仲介業参入等が認められれば、我々の経済活動・雇用維持の観点からも大きな障害となる。
銀行は、幅広い支店網と高い知名度さらには膨大な顧客情報等を有しており、中小宅建業者と比較し極めて有利な立場にある。こうした状況下にあって銀行に不動産仲介業等を認めれば宅建業の公正な競争が阻害され、業界の8割以上を占める地場の中小宅建業者にとっては死活問題となる。
〇 コロナ問題により中小・零細事業が苦境にある今こそ銀行は企業の資金繰りを支えるという本来の役割に専念すべきである。
〇 我々はこれまで、この問題が浮上する度に、組織をあげて反対し阻止してきた経緯がある。例え限定的な解禁であっても、これが蟻の一穴となり、なし崩し的に緩和の方向に向かうことは明らかである。
令和2年5月29日
公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会
会 長 坂 本 久
2020.05.29