



















人生100年時代、
ライフプランに合わせた住まい選びの新常識
最近、値上げのニュースも見慣れてきましたが、
それでも驚くのが住宅価格の高騰。
東京23区の新築マンションの平均価格は2023年に、
初めて1億円を突破しました。
これは返済期間35年で
金利2%の住宅ローンを組んだ場合、
月々の返済額が30万円を超える水準です。
一方で、価格変動が少ないと言われていた
賃貸物件の家賃も、最近では上昇し、
子育て世帯が大都市から周辺地域へと
転出する動きも加速しています。
「住む家」はライフプランにも関わる大事な問題。
家賃やローンが大きな負担となって
人生の選択肢を狭めたり、
住む地域に制限を受けて計画を断念する、
という事態になる前に、
“住まい選び”について一緒に考えたいと思います。
CAST
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慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で、主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院より Ph.D.(博士号)を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。2013年より早稲田大学大学院早稲田大学ビジネススクール准教授。2019年より現職。専門は経営学。
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電気工事業を生業とする中でデンキが創り出すミライへの可能性を教育や環境分野を中心としてアート的に表現するだけでなく、群馬県及び前橋市の行政施策にも深く関与し官民共創のデザインを地域に数多く創り出している。同社のビジョンでもある「宇宙のミライにワクワクする」を掲げデンキと地球とヒトとの共生が可能な社会を目指す中で「2025年大阪・関西万博」にもアーティストとして参加予定。また2023年に「世界一小さな本屋」としてギネスワールドレコーズに認定された「tiny tiny book store」の店主も務める。
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2020年6月、全宅連理事に就任。2022年6月から全宅連常務理事、広報啓発委員に就任。2024年6月から全宅連常務理事、広報啓発副委員長に就任し現在に至る。
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2003年にドラマ「ビギナー」で主演デビュー。ドラマ・映画・舞台・CMなど幅広く活躍。読書家としても知られ、新聞や雑誌などでエッセイや書評の執筆活動も行い、複数のコラムを連載中。近著には初の歌集「たん・たんか・たん」(青土社)がある。2018年3月、「ミムラ」から改名。


ABOUT
人生100年時代、
ライフプランに合わせた住まい選びの新常識

- #01
- #02
- #03
- #04
-
減少する人口と
増加する住宅 -
新しい
住まい選びの基準 -
広がる
空き家活用 -
考えるべき
ライフプラン
-
#01
減少する人口と
増加する住宅 -
#02
新しい
住まい選びの基準 -
#03
広がる
空き家活用 -
#04
考えるべき
ライフプラン
住まい選びの新常識のポイント


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POINT1
なぜ住宅価格が
高騰したのか? -
POINT2
空き家が
増え続ける理由 -
POINT3
これからの
住まい選び -
POINT4
“空き家活用”の
意義 -
POINT5
人生100年時代における
ライフプランの重要性
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なぜ住宅価格が
高騰したのか?住宅価格高騰の現状
東京都23区の新築マンションの平均販売価格が2023年に初めて1億円を突破しました。
仮に、金利2%で35年ローンを組んだ場合、月々の返済額が30万円を超える水準です。
また、価格変動が少ないと言われていた賃貸マンションの相場も上昇しています。高騰は複合的な要因
なぜ住宅価格が
高騰したのでしょうか?低金利政策が継続したことに加え、都市部への人口集中や、土地の供給不足が地価の上昇につながっています。また、建築資材や人件費などのコストが上昇したことや、海外投資家が日本の不動産取引に参入していることなど、複合的な要因が考えられます。
1長期的な低金利政策
低金利政策が長く続いたことで、住宅や不動産を購入しやすい環境が整い、不動産価格が上昇する要因となりました。
2都市部への人口集中
都市部では人口の流入が続き、住宅の需要と供給のバランスが崩れ始めています。
宅地の供給不足が顕著になったことも、都市部の不動産価格の高騰につながっています。3建築コストの上昇
建築資材の価格高騰や労働者不足も価格高騰の要因につながっています。
まず、コロナ禍以降に、木材や鉄鋼などの資材が急騰しました。また、建設業界が抱える慢性的な人手不足によって労務費が上昇したことも新築物件の価格上昇の要因になっています。4海外投資家の相次ぐ参入
世界的なインフレに伴って貨幣価値の相対的な下落懸念と資産を保全したいという心理から不動産への投資熱が高まっています。こうした状況の中で、外国人投資家による国内の不動産購入も増え、価格の上昇圧力が増しています。
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空き家が増え続ける背景と
今後のリスク空き家増加の現状
出典:総務省 令和5年 住宅・土地統計調査
総務省によると2023年10月時点での空き家は過去最高の13.8%で、およそ900万戸。
老朽化や防犯上のリスクが懸念されています。
空き家の数は30年で倍増。
1993年調査時から30年間で倍増しています。空き家が増える背景
1少子高齢化と人口減少
空き家の根本的な原因は、少子高齢化と人口減少です。特に地方では、若年層が都市部へ流出し、家が余る状況が続いています。
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2空き家を更地にすると
固定資産税が増える住宅に供する土地は、200㎡以下の部分に対する固定資産税が6分の1に軽減されます。
空き家でもこの軽減措置が適用されますが、空き家を更地にすると、この適用がなくなります。 -
空き家等を除却したときの固定資産税等(減免の適用がない場合)
※住宅用地については特例措置により固定資産税等が軽減されているが、家屋を除却すると特例措置が外れ税額が上がる
3空き家を更地にする
解体費用がかかる空き家を解体して、更地に戻す場合には、数百万円の費用が想定されます。
また、法改正や法令上の制限により違法建築や再建築不可などに該当し、所有不動産を容易に売却できないケースもあります。空き家問題の改善に向けた
取り組み空家特措法の制定
2014年に創設された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」は、2023年12月に改正され、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家(特定空家)化を未然に防止するため、 放置すれば特定空家(周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家)になるおそれのある空き家(管理不全空家)に対し、市区町村長から指導・勧告ができるようになりました。また、勧告を受けた管理不全空家の固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額) を解除することも可能となります。
不動産業による
空き家対策推進プログラムの公表-
空き家等を放置すると、やがて周辺環境などに悪影響を及ぼすため、「使える」空き家等は早めに利活用するのが効果的です。2024年6月には、空き家等の発生から流通・利活用までを一括してサポートし、空き家所有者の課題解決や新たなニーズへの対応を推進するための「不動産業による空き家対策推進プログラム」が策定されました。このプログラムでは、所有者からの相談体制の強化が掲げられており、ハトマークグループでも、相談体制の整備等に努めています。
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これからの住まい選びの基準
これまでの住まい選び
戦後、日本は住宅不足に対応するために、多くの新築住宅を供給してきました。これにより「家を買う」という言葉に、「新築住宅を購入する」という意味合いが強まりました。
近年、新築住宅の着工件数は低調に推移しているものの、今も年間80万戸前後の供給が続いています。
一方、日本における中古住宅の流通量は欧米の諸外国と比べても低く、全体の流通量の15%程度となっており、空き家増加の一因にもなっています。
こうした状況を是正するために、国や不動産業界団体では、建物状況調査(インスペクション)や、既存住宅かし保険の啓発・普及に努めています。地方都市における
空き家の活用と可能性-
地方では、都市部への人口集中や少子高齢化の進展により、空き家問題は深刻な状況になりつつありますが、空き家問題を改善するためには、行政のみならず民間企業・個人の、住宅や住まい方に対する考え方を変えていくことが重要になります。
問題と思われがちな空き家も、視点を変えることで個性を反映した住空間へ転換できたり、アートを活用したリノベーションや用途変更によって、新たな価値を創出することができます。また、住宅価格の高騰により新築住宅の取得が難しくなった若年層にとって、空き家の利活用は、多様な選択肢にもなり得るポテンシャルを秘めています。 -
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ライフスタイルと
住宅選択の関係性-
住まいを選ぶにあたっては、人それぞれのライフスタイルや、年齢や仕事、収入などのバランスがとても重要です。その一方で、近年、セカンドハウスや別荘などの「多拠点居住」への関心も高まっています。
また、スマートハウスやオフグリッド住宅(電力網につながらず、電力を自給自足している住宅)といった最新技術を取り入れた住宅も注目されています。
多様な選択肢のなかで、自身の価値観やライフステージにあった住まいを見極めることが重要です。 -
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新しい住まい選びの考え方
多様化する価値観とともに、多様な住まいの選び方も広がっています。
例えば、使用するエネルギーの量が、つくるエネルギーとの差し引きでゼロになる住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や、必要最小限のものだけで暮らすライフスタイル(ミニマリズム)、高齢者や共働きの夫婦が資金を出し合い、家事への労力などを分担しながらコミュニティーをつくって暮らす住宅(コレクティブハウジング)、二世帯住宅など多世帯が同じ住宅に住みながらも、個々のプライバシーを確保しつつ、家族間の交流を深める設計がなされた住宅(多世帯共生)などです。 こうした価値観が、住まい選びの際、より重視される時代が来るかもしれません。-
サスティナブルな家 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス
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暮らしを豊かにする ミニマリズム
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可能性が広がる 古民家再生&空き家利活用
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触れ合いを保つ コレクティブハウジング
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生活をもっと快適に スマートホーム
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助成制度もある 多世帯共生
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空き家活用の重要な意義※以降の記事は、番組で紹介していない内容を含みます。
空き家利活用の意義
空き家の利活用は、単に住宅自体を再利用することだけにとどまらず、地域経済や地域コミュニティーの活性化、新規事業創出の機会としても期待されます。
ライフプランに応じた
住まい選びの重要性ライフプランに応じた柔軟な住まい選びの重要性が増すなか、ライフステージの変化に合わせた住まいの選択肢が広がりつつあります。
宅建業者のなかには、空き家の利活用等を通じて、地域づくりやコミュニティー形成を促進しようと、独自の取り組みを行い、成果を上げている企業も見られます。-
民間の関与による
空き家活用の可能性空き家の利活用を進める上で、行政の協力は必要不可欠ですが、宅建業者をはじめとした民間企業が積極的に関与していくことも重要です。今後、多くの企業が空き家の社会的価値に着目し、利活用を促進していくことで、持続的な地域づくりに貢献していくべきでしょう。
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災害時の空き家活用の可能性
災害大国である我が国においては、災害時に被災者向け住宅として、空き家を利活用することも考えられます。特に、地方圏では、空き家の被災者向け住宅への利活用方策を検討すべきと思われます。
空き家の活用と
地域コミュニティーの形成事例空き家を活用した地域活性化への取り組みが注目されるなか、地場の不動産業者が中心となって地域コミュニティーの形成に貢献する好事例が各地で見られます。
例えば、地域を限定して、空き家を店舗や賃貸住宅に改修し、新たな事業者等を呼び込むことで、地域の魅力を向上させ、地域の価値を高めた宅建業者もいます。
空き家は負債とみなされがちですが、適切に活用すれば「ポテンシャルの余白」としての価値を持つ、新たな挑戦の場となる場合もあり、今後、活性化の有力なリソースとして利活用が期待されます。 -
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人生100年時代における
ライフプランの重要性※以降の記事は、番組で紹介していない内容を含みます。価値観とライフスタイルに基づく
住宅選びの重要性-
わが国の経済は、高度成長から成熟のフェーズを迎え、これまでのような画一的な枠組みにとらわれない、自分らしい生き方や、ライフスタイルがより重視される社会になっています。
この変化を踏まえ、よりよい住まい方を考えるためには、「住生活リテラシー」の向上が求められます。ただ、その前提として、自分がどのように生きるかという”ライフプラン”を明確にすることが欠かせません。
住まいに関する選択肢が広がり、それぞれの価値観に合った住まいを実現できる環境が整いつつあるなか、変化の激しい社会情勢を見据えながら、自分らしい住まい選びが、より良い暮らしを築く鍵となります。 -
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人生100年時代を見据え、
将来の生活を考えた住まい選び人生100年時代を見据え、住宅も長寿命化していく必要があります。バリアフリー化・ユニバーサルデザイン化や、機能・性能を維持する、リフォームによる若返りも必要になります。
また、将来の売却や相続に備え、住宅に関する情報や記録をきちんと保存し、他者に引き継げるように住宅のコンディションを保つような意識も重要です。資産価値を維持する住まい選び
人生100年時代には、資産価値の維持と資産計画のリテラシー向上も重要となります。
住まいに関するコストは、住み替えに要する取得費用と居住に要するランニング費用に大別できます。取得費用は高額になるため、金融機関から住宅ローン融資を受けるのが一般的です。毎月の返済額や返済期間は、家計を過度に圧迫しないよう留意する必要があります。
また、持ち家か賃貸のどちらがよいかは収入の見通しやライフプランなどをトータルで考慮する必要があります。コミュニティーリテラシーと
地域のつながり地域と住宅は切り離すことができず、地域コミュニティーとの関係は生活をする上で、とても重要です。
住み替えを検討する際は、交通や生活利便性だけでなく、地域の決まりごとや町内会、共用施設などについて、地場の宅建業者を通じて情報収集することがトラブル予防につながります。
また、自宅の維持管理が適切にされない場合、近隣への迷惑につながるので、管理方法には留意が必要です。
地域コミュニティーの衰退は、空き家の増加や利便性の低下などを招き、地域の衰退にもつながるため、移住者を歓迎し、コミュニティーに貢献するという意識が重要になります。 -