住まい探しはハトマーク

阿部多不動産株式会社/山形県鶴岡市

地域を魅力的にする取り組み

<取材:2017年10月>

 

一過性のビジネスではなく、
親子3代、4代のお付き合い

CSR活動を通じて業界のイメージアップを図る

 

・業界のイメージを向上させないと、不動産業の将来はない

・楽をせず、楽しく仕事をする

 


 

業界のイメージを向上させないと、不動産業の将来はない

 鶴岡市で大正13年に金物店の阿部多三郎商店を創業しました。建築資材を扱うようになると大工のお客さんも多くなり、ストーブを囲みながら“あの家は売りたがってるよ”とか、銀行から“土地を探している人がいるよ”といった話が情報として入り、その中で自然発生的に不動産業を始めたようです。当初は仲介が中心でしたが、徐々に宅地開発やアパート仲介・管理などを手掛けるようになり、今では宅地開発は1,000区画以上、アパート管理仲介も1,900世帯を超え、管理戸数は鶴岡地区でNO.1の規模になりました。“アベタホーム”ブランドの住宅建築も延べ700棟弱にのぼり、最近の商品はZEH※1基準も満たしています。当社の強みは住宅を建てたお客様の子どもの世代から家の建築を任せてもらっていることや、他社で建てた方のリフォームの仕事もご紹介いただいていることです。長年の付き合いをとても大事にしていますので、二世代・三世代に渡り取引をいただくことも多いですし、賃貸の仕事から土地や新築の話につながることもあり、商売が一過性で終わるということはありません。

 現在はグループ会社が4社あり、兄が阿部多株式会社のトップとして全体を統括し、私は不動産部門を担当しながら、山形県宅建協会の常務理事及び鶴岡地区長やNPO法人つるおかランド・バンクの理事長を務めています。私は東京の大学で建築学を学び、大手ハウスメーカーで3年半営業の仕事をしたのちUターンをしましたが、常日頃、父から「業界のイメージをアップしないと不動産業は将来がない」「お前が業界のイメージを変えなくては」と言われていました。

鶴岡市に単身高齢者世帯用にと火災警報器を寄付し、感謝状をいただいた

 そのためグループ会社をあげて日頃お世話になっている地域のためにCSR活動等にも力を入れ、年1回のチャリティバザーの実施、周年事業の取り組み、2年に一度“元気のでるスポーツ講演会”の開催、毎年の小さな親切運動にも積極的に参加しています。具体的には、創業90周年の際は単身高齢者世帯用に150台の火災警報器を市に寄付し、防火指導をしながら無償で設置したり、車椅子の寄付、海岸清掃などを行いました。また、国勢調査ではアパートの留守宅の回収率を上げる協力をしたり、スポーツ講演会も既に8回開催し、マラソンの瀬古利彦氏、水泳の鈴木大地氏、柔道の古賀稔彦氏、野球の村田兆治氏など著名なアスリートを招待し、毎回300~400名が参加する規模になっています。山形県宅建協会も地域貢献活動を熱心に行っており、献血活動では鶴岡地区がその功績を認められ、「日本赤十字社140周年記念社長賞」を受賞しました。また、私は鶴岡市の都市計画審議委員等いくつかの委員も務めており、今では市から「宅建協会はまちづくりのパートナー」と言われるまでになりました。

 

 

楽をせず、楽しく仕事をする

 “不動産の円滑な流通を通して郷土の発展のために貢献し、社員の幸福と会社の発展を期す。正しく誠実にそして迅速に”という経営信条を社員に浸透させるために、経営戦略をまとめ、それをチェックし評価できる仕組みを作りました。アクションプラン作りは社員に任せ、私はノータッチです。さらに、会社の業績や経営内容も全てオープンにし風通しをよくしています。

 社員には「楽しく仕事をしよう、楽は目指さないで」と常々言っています。楽をするためにうそやごまかしをすると、それが苦痛として心に残りますが楽しく仕事をすればプラス言葉が出て、明るく元気になりアイデアや工夫が生まれます。「暗病反(あんびょうたん)言葉ではなく、明元素(めいげんそ)言葉でポジティブ思考をしよう」「楽をして最終的に不幸になるか、楽しく仕事をして幸せになるか、最初の時点で選択を間違ってはいけない」と話をしています。この考えが、二代目の父が作った“地域への貢献、社員の幸福”という経営信条につながっています。私は父とは2年間しか一緒に仕事ができませんでしたが、「業界を良くしなくてはいけない」という父の言葉を社員が忠実に守り実践してくれたことで、逆に社員から教えてもらいました。当社の従業員は20代から50代までほぼまんべんなく在籍しています。私の自慢は、定年以外の退職者が少ないことと、社員が優秀なことです(笑)。

 

※1 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのこと。

 


 

阿部俊夫 氏

1961年山形県鶴岡市生まれ。明治大学建築学科卒業後、大手ハウスメーカー勤務。その後1988年より阿部多不動産(株)勤務。 1997年より代表取締役専務となる。公益社団法人山形県宅地建物取引業協会常務理事、鶴岡地区長。2011年より鶴岡市とランドバンク研究会を立ち上げ、その後NPO法人つるおかランド・バンクを設立し、理事長に就任。現在、鶴岡市都市計画審議委員、鶴岡市中心市街地活性化協議会委員のほか、鶴岡市地域住宅協議会委員 、鶴岡市居住支援協議会委員、鶴岡市空き家等審議委員を務めている。

 

 

 

阿部多不動産株式会社

代表者:阿部 廣弥
所在地:山形県鶴岡市山王町9-35
電 話:0235-24-3151
H P:http://abeta-f.jp/
業務内容: 90年以上に渡り、鶴岡市・酒田市など庄内で不動産業を営む。分譲地開発、住宅建築・リフォーム、土地建物の売買、アパート・貸家、そして資産活用から街づくりのコンサルタントまで、多様なニーズにワンストップサービスで対応する。