住まい探しはハトマーク

清水千弘 氏/日本大学スポーツ科学部

地域を魅力的にする取り組み

<講演:2018年1月>(公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会タウンマネジメント・スクール)

 

わが街と住まいを創造する力

中小宅建業者の出番がやってきた

 

埼玉県宅建協会のタウンマネジメント・スクールにおける基調講演の講演録です。不動産経済学の分野において第一人者である清水千弘氏の講演は、世界から見た日本という視点と豊富なデータから導き出された内容で構成されており、これからの不動産業のあり方を考える上でとても参考になります。

 

・まちづくりにはローカルスターが必要

・6つのQuestionにどう答えるか

・不動産業は、幸せの25%に貢献する産業

・日本はこれから未知の世界に突入する

・技術革新はどんな未来を創造するか?

・住宅を「投資財」ではなく「消費財」ととらえ、幸せのチェーンを創る

・不動産業者が社会的介在価値を高めるために必要な条件

 


 

まちづくりにはローカルスターが必要

 私は経済学者として大学で統計学や数学を教えています。専門はAIやビッグデータ解析で、現在日本大学スポーツ科学部でデータサイエンティストの養成やスポーツのデータ分析をしています。本日は経済学者の視点、AIやビッグデータの研究者の視点から、これからの不動産業をどう考えていけばいいのかについてお話をしたいと思います。

 私自身通常の研究とは別に、地域に入り、まちづくりや空き家再生の取り組みの現場を見たり、国交省で若手の官僚たちとアカデミックな勉強会などをしています。そこでわかったことは、「国やまちを救うのは1人の人間のリーダーシップ、1人のスターが生まれるか否かにかかっている」ということです。都市の魅力が何でつくられるのかというと、そこに大きな資源があるとか、歴史的な建造物があるということではなく、そこに1人の素敵な人間がいるからそのまちは輝いてくるということに、日本だけでなく世界のまちをいろいろ見る中で感じました。スターといっても世界的に有名なスーパースターだけでなく、地域にはピカッと光る“ローカルスター”がいます。私がシンガポール国立大学の教授をしていたときも、リー・クアンユー※1という1人のスーパースターがシンガポールのまちを創り上げていきました。今回のタウンマネジメント・スクールの中からも多くのローカルスターが生まれることを願っています。

 

6つのQuestionにどう答えるか

 シンガポール国立大学はアジアでNO.1と評価されている大学で、世界中から優秀な学生が集まってきます。その学生たちが生活をする学生寮の入り口には、“Creative and Innovation”と書いてあります。つまり、“創造的なことをしようじゃないか!”“イノベーションを起こそうじゃないか!”ということです。そしてその先にくるのが産業(industry) です。つまりイノベーションを起こしたらそれを産業にしなくてはなりません。イノベーションはお金儲けに変わって初めて実践になるのです。

 ここで、皆さんに6つの質問(Question)をします。その際、注意してほしいのは、“Question and Thinking”ということです。問いを与えられたら自分で考え、最後は行動に移してください。

Question1:私たちは、どうして家を買う(借りる)のでしょうか?

 シンガポール大学には、大学院生も含めると2,000人が通う世界最大の不動産学部(Department of Real Estate)があります。その優秀な学生達に授業の最初にこの質問をすると、実は誰も答えられません。シンプルな質問です。「何故人は家を買う(借りる)のでしょうか?」

 

Question2:幸せを実現するための不動産仲介のあり方とは?

 家を買ったり借りたりするときには、何千万、家賃でも何十万も支払いますから不幸になろうと思って家を買う人はいないでしょう。私も経験がありますが、意気揚々と田舎から出てきて、頑張るぞという気持ちで大学に通うために家を借りる。愛する人と結婚して家を買う。このように私たちは“幸せになろう”と思って家を買ったり借りたりします。

 では、「幸せの実現のために、皆さんは一体どのようにしてそのお手伝いをしていますか?」。これが2番目の問いです。

 

Question3:幸せの家とはどんな家?

 そもそも「 幸せな家とはどんな家でしょうか?」。人はどんな家なら幸せを感じるのかということを皆さんは考えたことがあるでしょうか?

 

Question4:2030年、 あなたは何をしていますか?

 経済学者のグレゴリーマンキュー※2のテキストの最後に「自分を拘束しなさい」ということが書いてあります。「人間は合理的ではない、楽な方向に動いてしまう。人間は嘘をつく、楽な方向に嘘をつく」「市場という機能を上手く活用し、生かそうと思うのなら“自分を拘束しなさい”」とあります。つまり、自分自身に約束し、そこからぶれないようにしなさい、ということです。目標をしっかり持ち、どんなつらいことがあろうともぶれずにやっていこうという覚悟がないと自分の想いは実現しません。

 では、あなたは今から約10年後の2030年に向けてどんな目標をもち、その達成に向けてどのように自分を拘束していきますか?

 

Question5:あなたにとっての財産とは何ですか?

 家は人生の最大の財産といいますが、財産とは一体何なのでしょうか?

 

Question6:子ども達にどんな日本・まち・会社を残したいですか?

 企業の経営者として皆さんは子どもにどのような会社を残したいですか? 国やまちなどを含めて、子ども達にどのような財産を残したいのでしょうか? そのことについて考えてみて下さい。

 

 

不動産業は、幸せの25%に貢献する産業

 消費者は「幸せ」になるために家を買ったり借りたり投資をしたりします。トルストイは“アンナカレーニナ※3”に、「幸せな家族は一様に幸せである。不幸な家族はそれごとに不幸である」と書いています。結婚したり、子どもが生まれたりなど、幸せになっていく絵は皆一緒です。しかし、不幸は一様に起こるわけではなく、思ってもみなかったことが各自ばらばらに、しかも突然ふりかかってきます。そのようなことに対して、住まいを提供する者として何ができるのでしょうか?

1970年~2025年の推移。青線は人口、赤線は生産年齢人口

 私は住宅価格指数の研究をしていることから、内閣府の委員として消費者物価指数を見ています。私たちは食事をしたり、服を買ったりしてお金を使い、幸せを得ていますが、そのことを「消費をして効用を得る」といいます。消費者物価指数の分析から分かったことが、日本でも欧米諸国でも、その最大のウエイトを占めているのが“住宅”で、人は住宅にお金を使って約25%の効用を得ているということです。

 一方、不動産業がGDPに占める割合は日本全体で約10%になります。つまり皆さんの仕事は、幸せの25%、経済活動の10%に寄与しているのです。このように、不動産業は幸せと経済に対する貢献度が非常に高い重要な産業です。そして経済の成長は将来の子ども達の幸せに影響します。

 

 

日本はこれから未知の世界に突入する

『The Economist』日本特集

 AIを使ってわかることは、データから見える未来です。それによると日本の未来には明るい要素は1つもありません。The Economistという雑誌に日本の特集が組まれましたが、そこではInto the Unknown( 未 知の世 界へ) そしてlosing Japan(日本消滅)と書かれており、日本は有史以来どの国も経験したことがない速度で高齢化が進んでいて、このままいくと国が消滅するだろうと予測されています。

 実際に統計数字を見ても、日本の生産年齢人口は1990年のバブルのピークの時期から減り始めています。バブルはプラザ合意以降の過剰流動性がもたらしたといわれていますが、実はそうではなく、労働人口が多く、若い力があったからです。その労働人口が減っていけば、かつては世界の十数%を占めていた日本の経済力もどんどん小さくなり、これからはアジア諸国にも抜かれていきます。それがlosing Japanです。さらに、日本はその前にlosing town(地方消滅)という問題が起こります。その原因は子どもの出生率の低下です。今、世界の老齢人口依存率※4は約10%ですが、日本は38%くらいです。それが2040年になると70%を超えてきます。夕張市が破たんした時はこの数字は90%を超えました。

 するとそこから将来の地価も予想できます。私はAIで計算し、研究した結果を正確に知らせる必要があると思い、このまま高齢化が進むと“日本の国土全体の地価が1/3になる”という本を出しました※5。しかも首都圏ではこれから一気に高齢化が進み、高齢化の問題は今後地方ではなく大都市圏の大きな課題になります。そこで、どうすればこの状況をうまく乗り越えられるのかについて皆さんに考えて欲しいと思います。

 

2020年~2040年の人口推移。棒グラフは総人口、折れ線は高齢者の比率

土地価格指数

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

技術革新はどんな未来を創造するか?

 次のテーマは「テクノロジーの進歩でどんな未来が待ち受けているのか」ということです。“技術革新はどんな未来を創ろうとしているのか”“家はどのようにつくられ、どのように変質していくのか”。そして、“これからはどのような生活が待っているのか”ということを考えてみます。キーワードは「第4次産業革命」で、スマートフォンの誕生やSNSの普及など今まで想像すらしなかったことがこれからも起こってきます。

 プロダクションの変化でいうと、例えば昔は電話をかける時は受話器を回していましたが、今はスマートフォンに話しかければつながる時代になりました。家も、外出先からスマートフォンに声をかければ冷房が自動的に入り、時間設定しておけばライトが朝起こしてくれるようなことが既にできるようになりました。タクシーを呼ぶと、スマートフォンに何分後に迎えにきて何分後に学校に着くと表示がでるので、私はそれを見て“30分後に授業を始めるよ”と学生に配信しています。既に3Dプリンターで家ができるようになり、自動車をつくる実験も行われています。

インターネットで人とモノがつながる

 では、私たち不動産業はどうなるのでしょうか? マイケル・オズボーン准教授※6はその著書「雇用の未来」の中で、10年後には専門家の仕事の多くはAIに代替されるとし、その中には不動産のブローカーが入っていました。私は15年近く前に、AIエンジンを使った住宅ローンとアパートローンの自動審査のシステムをつくりましたが、当時3日かかっていた審査がこれにより2時間に短縮され、現在は15分でできるようになりました。不動産の実務においても、いくつかのサイトでは、マンションの部屋単位で、売却するとどのくらいの価格になるのかがわかるものが出てきていますし、米国では2000年頃から、不動産仲介の工程の中の、価格査定や税金の計算、ローンの診断などの部分はAIに置き換えられてきました。そのような業務は今後、専門家がやる仕事としてはなくなっていくのかもしれません。

 AIが発達し、人間の知性を超えるシンギュラリティの瞬間がいつ来るのかということが世界中で議論されています。トム・ミッチェル教授※7は、「それはマルチラリティ(multilateral)だ」と言っています。つまりそのような変化は私たちが気が付かないところで絶えず起こっており、ある日突然一気に変わってしまう、ということがあり得るということです。

 先日ニュースで、3メガバンク合わせて3万2,500人を今後リストラするとの報道がありました。これも2000年あたりから少しずつ準備が始まっていて、気が付いたらその規模になっていたということです。このような思いもよらぬことが予測される中で、不動産業はどうあるべきかということを今から危機感をもって考えておく必要があります。

 

 

住宅を「投資財」ではなく「消費財」ととらえ、幸せのチェーンを創る

 日本について暗い未来の話をしましたが、ここからは「不動産の専門家の未来像はどういうものか」ということについて考えたいと思います。

 家は家族にとって最大の資産だといいましたが、一方で日本の地価は1/3になるとも述べました。では、6,000万円で買ったマンションが2,000万円になり、4,000万円も損をすることがわかっているものを、私たち不動産業者は消費者に買わせてしまって果たしていいのでしょうか?消費者は幸せになるために家を買うと言いました。トルストイも、家族は一様に幸せになると書いています。では、私たちは不幸になるお手伝いをしてしまっていいのでしょうか?土地神話があったときには確かに家を買うだけで幸せになれたかもしれませんが、これからは不幸になる人をたくさんつくることになってしまうのでしょうか?

 その疑問に対して、私がマサチューセッツ工科大学不動産研究センターで研究成果としてまとめた答えが、住宅には2つの側面があるということです。1つは「投資財」としての側面です。1,000万円で買った家が2,000万円に上がることもあるし、それを賃貸して、家賃収入として5%がリターンすることもあります。そういうことを目的として買うことが投資財としての側面です。もう1つが「消費財」としての側面です。私たちが家を買う目的は、結婚して幸せな時を過ごしたいとか、一緒に結婚記念日を祝ったり、子どもの誕生日を家族で過ごせる場所が欲しいなどというためです。機械で動く家はなるほど便利ですが、そこから受ける幸せは実は微々たるものです。やはり家というものは“家族と時間を共有する場所”または、“生活をそこに刻む場所”だと思います。家は25%の幸せを感じる場所であり、人はそのためにお金を払っていると述べました。では、その25%の幸せは何かというと、“その場所で家族と一 緒に過ごす時 間や経 験 ” です。 その幸せは6,000万円の住宅でも2,000万円の住宅でも違わないと思います。そのように考えると、地価が下落する局面では、人々は“効用を最大化するために、消費財として家を買う”ということになります。その視点からすると、仮に毎年5%ずつ資産価値が下がっていくとしても、それは投資に対する価値が下がるだけであって、そこに住んでいる人から見れば大きなお世話な話です。家は家族の歴史であり、そこには家族の想い出が刻まれて、むしろ時間が経つにつれて家の価値は深まっていくのです。このように意識を変えるだけで、つまり「消費財」か「投資財」かという定義を変えるだけで、住宅に対する価値は全く変わってきます。日本の地価はこれから必ず下がります。しかし、その場合でも日本人にとって住宅は最大の資産であることに変わりはありません。従ってこれからは、資産価値から解放されて住宅を「消費財」ととらえていく必要があります。

 そうすると、これから幸せの家を実現するために、不動産業者は何をしなければならないのでしょうか?そのために必要な条件は、まず“幸せの家に出会う”ということです。そのためにはマッチング機能を充実させなければなりません。どんな人が幸せになろうと思い家を買おうとしているのか、その人たちの幸せを実現するためにどんな家がふさわしいのか、ということを考える必要があります。次に必要な条件が、“幸せの家に住み続けられ、そこで家族との思い出を熟成できる”ということです。そのためには、子どもが成長し、間取りが合わなくなってきたらどういうリノベーションをすれば幸せが維持できるのか?もしそれでも部屋が足りない場合は、住み替えを通じて幸せを実現することができるのか?ということについて考えます。この連鎖をチェーンといいます。売り手の思いをつなげるチェーンです。

 今から15年くらい前にイギリスでこのチェーンをどうつなげるかの研究が行われ、売り手が物件の情報を開示するホームインフォメーションパック(Home Information Pack)という仕組みができました。日本ではそこから情報開示やインスペクションの制度だけが取り上げられましたが、実はそれ以上に、チェーンを回すことによって、“幸せの家の連鎖”を作り上げていくという考え方が重要なのです。

 つまりこれからは、資産価値から解放されて、「住宅を社会(個人間ではない)で交換して、幸せになる人を増やしていくこと」が不動産仲介業の重要な位置付けになると思います。

 

 

不動産業者が社会的介在価値を高めるために必要な条件

 そのために、私たち不動産会社はどのようなスキルを身に付けなくてはならないのでしょうか。

 1つ目は、金融知識(Financial Sophistication)です。バブル崩壊の時もリーマンショックの時も、最高益を出しながら金融知識が不足していたために倒産した建設会社や不動産会社がたくさんありました。他方で、消費者も家を買っているようで実は住宅ローンを買っているのです。幸せになろうと思って家を買ったのにローン破綻してしまう人が大勢います。これからの不動産業者はまず金融の知識を身に付けなければなりません。それは自社の防御のためでもあり、お客様を幸せにするためでもあります。

 また、これから世の中が必要とするものがどんどん変わってきます。ダイナミックリサーチ&ストラテジー(Dynamic Research and Strategy)といういい方をしますが、市場の変化を読み取り、世の中が皆さんにどんな価値を求めているのかをリサーチして、事業戦略に生かしていく力を身に付けなければなりません。これが2つ目です。

 3つ目が、パフォーマンスカルチャー(Performance Culture)です。自分の会社を正しく見て、その優位性がどこにあるのかについて評価することが必要です。業績が良くても実は自社には力がなく、たまたま市場が良かっただけかもしれません。そうであれば市場が悪化すれば業績も一気に落ちるでしょう。

 そして4つ目は、スペシャリゼーション(Specialization)です。自分たちはどのような専門性を提供してお金をもらっているのか。自社の専門性と競合優位性を明確にし、磨いていかないと社会への介在価値は徐々に小さくなっていきます。

 最後はピープル&パートナー(People and partners)ということです。皆さんは宅建協会に属しています。そこにはネットワークの強さがあります。1人だけで勝負するのではなく、ネットワークを生かして仕事をしていけば1人ではできないことも実現できるようになります。

投資市場に学ぶダウンサイジング社会におけるリスクマネジメント

 これから私たちは「幸せの家の実践」ということを考えていかなくてはなりませんが、幸せを与えるということは、「社会的な介在価値をつくる」ということです。そしてその価値に対してお金が払われ、産業になり、持続的なビジネスになります。私たちは社会やお客様にどんな価値を提供し、どんな“ありがとう”をもらうのでしょうか。時代の変化に伴い、望まれる価値の内容も変わってきます。金融知識をつけ、市場の変化を読み取り、自社の立ち位置を知り、専門性を高め、力をつけ、自分の力が足りないところは他の人と組み、ネットワークの力を生かすことによって社会的な介在価値を高めていくことが、これからの時代に生き残っていく条件になるでしょう。

 Apple社の創業者のスティーブ・ジョブズ※8の最後の言葉には、「どうかこれからは家族を愛し、配偶者を愛し、友人を愛し、そして全ての人を大切にして欲しい」とあります。そのジョブズにパーソナルコンピュータのアイデアを与えたといわれているアラン・カーティス・ケイ※9は、「未来は怖がるものではない。未来は創るものだ」と言っています。本日の講師陣の話や全宅連不動産総合研究所がまとめた報告書(RENOVATION)には、クリエイティブな仕事、イノベーションした仕事をし、それをストーリーにして広めることで、地域と家族を幸せにしている実践例がたくさん詰まっています。このような例を参考にしながら、これから皆さんがどのような未来を創り、どのような財産を子ども達に残していくのかというビジョンを考えて欲しいと思います。

 シンガポールでは、私が日経新聞に書いたエッセイ※10がきっかけとなり、国を挙げて“果たしてシンガポールはこれから生き残ることができるのか?”という議論が起こりました。そしてその結論は「Yes,No or Maybe」というものでした。つまり、“今この瞬間、あなたがどんな選択をするかによってシンガポールはこれからも成長し続けるかもしれないし(Yes)、間違った選択をすると成長することができなくなるかもしれない(No)。ただしその選択は今この瞬間にしなければならず、その選択を先延ばしにするとどうなるかわからない(Maybe)”ということです。

 同様に皆さんは“あなたのまちはこれから生き残ることができるのか”ということを考えなくてはなりません。今この瞬間、自分たちのまちをどのようにしていくかということについて正しい選択ができれば生き残れるでしょうし、間違った選択をしてしまったり、行動ができなかったりすると生き残れないかもしれません。

 繰り返しになりますが、科学技術はこれからどんどん進歩します。自分が持つどの専門性をこれから磨いていけばいいのか、その専門性をどう生かし、どのような価値を提供していけば、社会にも貢献でき、商売にもつながるのか、ということを考えて下さい。私はいよいよ「中小宅建士の出番がやってきた」と思っています。皆さんにはとても大きな潜在力があります。皆さんの中からローカルスターが生まれ、ネットワークを生かして行動していけば、地域を発展させることができるとても大きな力になると思います。

 

※1 Lee Kuan Yew シンガポール初代首相。在籍期間1959年-1990年

※2 N. Gregory Mankiw ハーバード大学経済学部教授

※3 ロシアの作家レフ・トルストイの長編小説。1877年

※4 The Old Age Dependency Ratio 15~64歳の人口に対する65歳以上の人口の割合。

※5 「日本の地価が3分の1になる! 2020年 東京オリンピック後の危機」(光文社新書)2014年

※6 Michael A. Osborne オックスフォード大学准教授

※7 Tom Mitchell カーネギーメロン大学教授

※8 Steven Paul “Steve” Jobs アップル社の共同設立者の1人。”The last wirds of Steve Jobs”

※9 Alan Curtis Kay アメリカ合衆国の計算機科学者。マイクロコンピュータ以前の時代に、個人の活動を支援する「パーソナルコンピュータ」という概念を提唱した。(出典:wikipedia)

※10 2015年9月1日日本経済新聞朝刊「経済教室」

 


 

清水千弘 氏

1967年岐阜県大垣市生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程中退、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士(環境学)。シンガポール国立大学不動産研究センター教授、日本大学スポーツ科学部教授、マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員。専門は不動産経済学、応用統計学、ビッグデータ解析など。