公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会秩父支部

地域を魅力的にする取り組み

<取材:2019年12月>

 

空き家バンクの成功の秘訣は、
移住定住事業として取り組むこと

移住者をフォローし、地域の人との懸け橋になる

 

空き家の存在が社会課題となるなか、全国の自治体は空き家の流通を目的に空き家バンクを設立し、各地域の宅建協会は各自治体と情報提供や媒介業務に関する協定を締結している。なかでも、公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会秩父支部(支部長:井上 敏氏)は早くから行政と協力体制を組み、空き家の解消のみならず移住促進においても高い実績を上げている。その先進的な取り組みについて話を聞いた。

 

・行政・地元企業・宅建協会が三位一体で地域の活性化に取り組む

・秩父の空き家バンクは商売の場ではなく、移住定住対策として取り組み、入居後も移住者が地域に溶け込めるようにフォローする。

 


 

行政・地元企業・宅建協会が三位一体で地域の活性化に取り組む

─空き家バンク設立と宅建協会が連携した経緯について教えてください。

依田氏秩父青年会議所(以下、JC)を同時期に卒業した不動産業者2名、工務店2名、設計事務所2名、中小企業診断士1名の計7名の有志で、2006年に「田舎生活創造工房」を立ち上げました。東京で仕事をしていると、「秩父で田舎暮らしをしたいけどいい物件はないか?」などと相談されることがありましたし、団塊の世代が定年を迎え、これからは地方に移住する人が増えるといわれた時期でした。しかし秩父にはバブル時代に供給された別荘地など、建築確認が無い物件も数多くありました。そこで、専門の職種が集まってプロとしてのノウハウを生かし、土地探しから住宅建築、さらには生活面のフォローまでトータルでサポートし、秩父への移住を推進することにしました。さらに「ちかいなか秩父」という言葉を作り商標登録をしました。“近い田舎”と“近い仲”という想いを込め、都心から特急で78分という場所にありながら田舎の雰囲気があり、昔ながらの人情も残っている秩父で田舎暮らしを楽しんでもらいたいと考えたのです。

 一方、秩父市を中心とした1市4町※1は、総務省の定住自立圏構想のもと「ちちぶ定住自立圏」を形成し、2007年に地元企業の活性化と地域振興を図ることを目的にFIND Chichibu※2(以下、FIND)を設立。そこには秩父地域のさまざまな企業が100社以上集まり、私たちも参加しました。FINDでは早速いくつかの分科会が立ち上がり、その中の1つの“秩父に人を呼び込もう”という目的で設けた「ちかいなか分科会」では、ホームページを立ち上げて空き家の情報提供を始めました。その後、宅建協会と連携することにし、2010年に1市4町の首長、FINDの幹事長、埼玉県宅建協会秩父支部支部長(吉澤靖浩氏)の3者で調印式を行い、「ちちぶ空き家バンク」を開設することになりました。「ちちぶ空き家バンク」のユニークなところは、その目的が“空き家の解消”ではなく、「ちちぶ定住自立圏構想」の目的の中の1つである“都市住民を秩父圏域へ呼び込み、交流・移住を促進する”ということにあります。3者の役割は、行政が不動産の所有者と、空き家を買いたい・借りたい人の窓口になること、宅建協会は不動産の調査と契約業務、そしてFINDは移住者の生

活面でのフォローをすることです。

 

依田英一郎 氏                                    

ちちぶ空き家バンク委員長、

情報・政策・業務支援委員会 委員長

株式会社依田商店 代表取締役

吉澤靖浩 氏                          
元秩父支部支部長
有限会社吉屋不動産 代表  
 
 

吉澤氏「ちちぶ空き家バンク」を推進するうえで決め手になったのは、1市4町と提携できたことと、行政が窓口となって集めた消費者の対応をするにあたり、当支部のことを信

頼してくれたことです。全国に先駆けた取り組みということで、マスコミにも多く取り上げられましたが課題もありました。まず、約90社以上いる支部の会員に対し、地域性も勘案しながら会員間の公平性をどう担保するのかという点。次に、登録される物件は権利調整や調査が難しいことも予想されることから、トラブルを回避するために実務経験が豊富な人に担当してもらうことが必要な点です。取引でトラブルがあるとそのクレームは行政の窓口に行きます。そうなると行政からの信頼関係を失ってしまいます。行政だから安心ということで問い合わせをしてきた方への対応ですから、業者もその立場を認識し、より慎重な対応をしなくてはなりません。

 逆に、まったく流通性のない物件でも行政は登録受付をしてしまいます。空き家の解消が目的ならどんな物件でも登録すればいいのでしょうが、秩父に移住してくれる人のために物件を提供するのが最終目的ですから、そのあたりのコミュニケーションも必要でした。

 そこで、当支部では情報・政策・業務支援委員会を空き家バンクの窓口にし、そのメンバーに行政との窓口対応と物件の取引をお願いすることにしました。また、物件調査や案内に経費がかかることから行政に相談したところ、協力費として年間12万円が支部に支払われることになりました。

 

─「ちちぶ空き家バンク」の仕組みや流れについて教えてください。

ちちぶ空き家バンクとコミュニティサポートの仕組み

依田氏「ちちぶ空き家バンク」の事務局は、(一財)秩父地域地場産業振興センターにあります。物件を空き家バンクに登録するには、まず所有者が役所に申請書を提出し仮登録をします。役所は申請書を「ちちぶ空き家バンク」の委員長である私にメールします。私はそれを情報・政策・業務支援委員会のメンバーに順番に振り分け担当を決め、担当になった業者名を役所に伝えます。役所は所有者にアポイントの連絡を入れ、所有者・役所・担当業者の3者で現地立会いを行うと同時に、資料の確認、売却や賃貸の金額を決めます。 そして、業者が鍵を所有者から預かり、一般媒介契約の締結、広告を作成し、「ちちぶ空き家バンク」のホームページにアップします。ホームページには担当業者の連絡先が記載されているので、購入希望者の問い合わせは、事務局か業者に直接入ります。役所には、内覧の実績などの活動プロセスや、最終的に成約した場合に成約報告をします。

 情報・政策・業務支援委員会のメンバーは全員空き家バンクに対する責任を負います。現在7社で、手間がかかる割に商売になりにくいことから自ら進んで手を挙げる会社は少ないのが実状です。物件の仮登録の連絡があれば、7社で順番に担当しますが、別荘地などは調査や案内の手間を考慮して、団地ごとに担当を決めその会社に優先的に扱ってもらいます。

 空き家バンクに登録する物件は、ホームページに地番まで載せ、地図も付けて場所が特定できるようにしています。また、登録については相続登記をしていて、鍵を預かることができるものが条件です。別荘地は都市計画区域外で建築確認が無いなど法令上問題のある物件も多く、市町が手をつけるのはいかがなものかという議論もあったようですが、誰も手をつけないと朽ちるだけなので極力受けることにしています。また、売り出し価格は所有者の意思で決めてもらい、価格未定や応相談という表記はNGにしています。さらに、事故の有無と他社に売却依頼済かどうかは事前に確認するようにしています。

 空き家バンクを開設してからの年間の新規登録件数は平均50件で、成約件数は約20件です※3。また、賃貸物件もOKにしていますが全体の1割程度です。希望者のニーズは賃貸のほうが高いのですが、修繕箇所も多く改修費がかかるうえに、ただでも処分したいという人が多いので賃貸に出す人は多くありません。

 

空き家バンクを利用した移住者が住む別荘地の売買物件

空き家バンクを利用した移住者が住む古民家の賃貸物件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─購入者はどのようなプロフィールで、どんな物件が売れていますか。

浅香氏価格帯は500万円台からそれ以下の物件が最も売れています。なかには30万円や50万円という物件もあり、もし空き家バンクがなかったら誰も扱わなかったと思います。

 

市川氏購入者は50歳代の後半から60歳代の人が多く、週末だけこちらに来て、400~500万円で自分の趣味を生かして10年くらい遊べればいいという感じで購入されます。また、なかには若い方もいて、個人事業主で仲間たちと週末遊ぶための拠点として使いたいというケースもありました。秩父は行政や民間が努力したこともあり最近は知名度が高まっていますし、交通の便もよく自然も豊かということで選ばれているようです。

 

依田氏成約物件の1割が秩父地域内の移動で、4割が移住定住者、5割が二地域居住者です。市内の物件は20~30歳代の独身女性のオファーが増えてきています。また、当初は西武線沿線の都内の人の比率が高かったのですが、最近は購入者の5割近くが埼玉県の県南の人になりました。

 

浅香 稔 氏                                   

情報・政策・業務支援委員会 委員  

AKホーム株式会社

新井陽一 氏                              
情報・政策・業務支援委員会 委員
守屋八潮建設株式会社 営業部次長  
 

 

市川 洋 氏                                                      

秩父支部副支部長、情報・政 策・業務支援委員会委員
株式会社丸晃住販 代表取締役 

落合秀明 氏                                   
情報・政策・業務支援委員会 委員
落合建設株式会社 不動産部主任  
 

─物件価格が安く権利関係の調査等もあり、苦労が多いのではないですか。

依田氏購入希望者は東京から来る人が多く、案内の際は秩父の駅からの送迎になることも多いので最低でも半日はつぶれますし、なかにはいきなり「今駅にいるからすぐ案内してほしい」という人もいて、他の仕事ができなくなることもよくあります。そのため空き家バンクのホームページには地番と地図を載せ、写真もかなり多く掲載できるようにし、物件を検討する人にはまず自分で現地を1回見てもらい、それでも興味があるという方のみを案内するようにしています。

 

新井氏私は会社員という立場で「ちかいなか分科会」にも参加しています。当社の社長はFINDのトップを務めたこともあり、空き家バンクの趣旨にも賛同しているので仕事として認めてもらってはいますが、別荘や山の中にある物件は、私道の権利の確認、境界の確定や水道管理者への聞き取り、土砂災害区域に関する制限や自然公園法や水源地条例等に関する調査など、重要事項説明書を作るのにも役場以外に何カ所も調べに行かなくてはなりません。そのため、仲介手数料があまりにも低い物件の場合は社内でも肩身が狭い思いをします。

 また、25万円の借地権付き建物や30万円の別荘地など、仲介手数料に対して会社が負うリスクのほうが大きすぎる物件は、媒介契約を辞退し、こちらで集めた調査資料を買主に差し上げ、契約書のひな型作成、移転登記のアドバイス、そして司法書士の紹介をしただけのケースもありました。

 

落合氏その意味で昨年の宅建業法の改正で、400万円以下の物件で売主から調査費用等で最高18万円をもらえるようになったことは非常に大きいです。また、お客様からリフォームの相談が入ることもあり、建築の仕事に結びつくこともあります。

 

依田氏少しでも反響が入るように、物件の撮影は必ず晴れの日に行いますし、物件の特長を把握して“マロニエのある暮らし”“シンボルツリーはもみじ”といったようにキャッチコピーを考えます。また、別荘地はしばらく人が住んでいない物件が多いので、預かった物件は、日頃から配管の詰まりの有無を確認したり、台風のあとは損傷がないかなど空き家の管理も実質的に行っています。

 

─引き渡し後のクレームを回避するために、どのようなことをされていますか?

落合氏私の場合、今までトラブルになったことは一度もありません。曖昧にしないことが大切で、基礎の下が少し浮いているとか、シロアリに食われた跡があるとか、経験上、気付いたことは案内の段階で全て伝えるようにしています。

 

浅香氏告知書の雨漏りやシロアリの項目は全て“可能性あり”にします。また、シロアリ調査を無料でする会社がありますし、有料ですが土壌調査や建物インスペクションなど、買主には必ず案内するようにしています。

 

依田氏空き家バンクの物件は、決めてしまえばそれでいいというわけではないので、契約の相手の本気度や使い方は気をつけています。

 また、物件価格は現地調査の際、行政の立会いのもとで決めてしまうとお墨付きを与えた感じになるので、後日行政の人がいないところで決めるようにしています。細かい話ですが、トラブルがあればまず役所にクレームが入りますので、そうならないように注意を払っています。

 

新井氏当社も価格は所有者に決めてもらいますが、どのような状態でホームページに載せるのかということを確認します。買う側の立場になれば、家財が残っておらずきれいに片づいているほうがいいですし、10万円で直せるものも見た目の印象が悪いと30万円値引いてくれと言われてしまいます。そのような説明をしながらどこまで費用をかけ、いくらで売りに出すのかを決めてもらいます。

 

─登録するのはどんな人で、物件はどのようにして集めていますか。

依田氏登録するのは、別荘の場合は、若い頃に購入したが高齢になって使わなくなったので手放したいという人や、市内の物件の場合は、親からの相続で取得したけれど使う予定もなく、とにかく処分したいという人が多いです。最初は隣人や市町村に買ってもらえないかと相談するようですが、それが無理だとわかるといくらでもいいから売ってほしいと私たちのところへ来ます。

 

市川氏数年前から行政が固定資産税納税通知書に空き家バンクの案内を入れるようになりました。これによって、登録件数が飛躍的に伸びるようになりました。

 

─空き家バンクを推進するうえで、今後の課題について教えてください。

新井氏空き家バンクの仕事は、扱うのが難しい物件が多く手間もかかりますが、面白さもあります。例えば、契約書作成のお手伝いだけをした土地の購入者は、そこに自分で6畳ほどの小屋を造りそれがテレビで話題になり、横瀬町に移住してきた人と結婚してカフェを始めました。また、川のほとりにある物件で、場所はいいけど“水がない”という建物を買う若い人がいたり、雨漏りしている家を仲間と隠れ家的に使いたいといって購入し、自分たちで楽しんで直してしまう人がいたり、この仕事を通じてビックリするような使い方やアクティブで面白い人たちに出会うことができました。秩父で生まれて育った私からすると、豊かな自然は空気のような当たり前のものですが、「暮らすには本当にいいところですよ」ということを心の底からお伝えしています。

 

落合氏都内から来る人は、せっかくこういうところに来るのだから土をいじりたいと農地付き住宅を希望される方も多いので、農地転用をしやすくしてほしいと思います。

 

吉澤氏農家も家と農地を一緒に売りたいが認可が下りない物件も多く、農地転用の壁がありました。そこで行政に働きかけたところ、農地法第3条における下限面積を1a(100㎡)まで下げてくれました。なお、秩父市、横瀬町は条件なしで、皆野町、長瀞町、小鹿野町は空き家バンクに登録した物件のみが対象になります。

 

井上 敏 氏                                              

秩父支部支部長

株式会社いのうえ工務店 代表取締役

 

井上氏当社では新卒採用をしていますが、県外から来た学生に「秩父に来たことがありますか」と聞くと、4年前は誰も手を挙げる人はいませんでしたが最近は10人中6~7人が手を挙げてくれます。やはり秩父のイメージが大きく変わったという実感があり、これをどうやって移住や定住につなげていくのかがこれからの課題です。また観光面でも、都心から1時間強で行けるということは近いという意味ではプラスになりますが、逆に日帰り旅行で済まされてしまい、どうすれば宿泊に結びつけられるかということも考える必要があります。

行政と宅建協会のメンバーによる、ちちぶ空き家バンクのミーティングの様子

 供給面でいうと、農地や土地を処分したい人は増えてきていますので住宅への転用が容易になれば宅地にして新規分譲することができますし、最近は超低金利のおかげで親とは別に家を建てたいという子ども世代の動きがあります。ただ、今後さらに移住人口を増やしていくには、働く場所をいかに確保するかということが最も大きな課題になるでしょう。

 「ちちぶ空き家バンク」は代々の支部長や献身的に関わっている委員たちのおかげで大きな実績が上がるようになりました。これからも、公益社団法人のミッションとして行政と連携しながら地域に貢献していきたいと思います。それと共に、地域の魅力が高まり、人が集まってくれば、最終的に自分たちの商売につながりますので、地元の支部として秩父エリアを盛り上げていきたいと思います。

 

 

 

 

 

秩父の空き家バンクは商売の場ではなく、移住定住対策として取り組み、
入居後も移住者が地域に溶け込めるようにフォローする。

株式会社依田商店 代表取締役 依田英一郎 氏

 JC時代の仲間たちと空き家バンクを始めましたが、そこは商売をするための集まりではなく、まちづくり、人づくりをするための集まりでした。また、別荘の所有者で家を売りたいという人からは、「秩父の人はよそ者の私たちを受け入れてくれない」「地元の人との交流がしづらい」という話を聞かされていたこともあり、仲間たちとは「私たちが彼らと地元との間に入る役割を果たしていこうよ」という話をよくしていました。

 実際に、空き家バンクを通じて移住してきた方には、その後地元に溶け込めるようフォローをしています。別荘だった家を購入してもらった埼玉県の県南から来た女性は、購入後も数カ月約2時間かけて毎日県南まで通っていました。そこで知り合いの秩父の会社を紹介したところ採用になり、地元で働けるようになりました。また、女性だけでは地元の居酒屋にも入りづらいだろうと思い、一緒にお店に連れて行って仲間を紹介したこともあります。さらに、トラブルがあった場合に備えて、プロパンガス会社も安い会社ではなく夜中でも無料で駆けつけてくれるところを紹介しました。

 また、小鹿野町の土地を購入してもらった東京で新聞の編集をしていた方から、ある日「貸店舗を探してほしい」との依頼がありました。聞くと「チーズ工房を始めたい」とのことです。それなら数年前にワイナリーができた秩父の吉田地域がいいと思い、情報提供をしました。結果的にその地域が気に入り、近くでチーズ工房をスタートしたのですが、とても面白そうな話だし、その店を成功させることが地域のためになると思い、商工会議所のイベントでチラシをまいたり、地元の百貨店の社長やホテルの社長を紹介しました。その店はテレビ番組の“人生の楽園”に取り上げられたことから、今では週末は付近が渋滞になるほど有名になっています。

 同じく、別荘地を購入してもらった家族は、地元でレストランを始めたいということだったので、路面店でパン屋だった店舗を紹介しました。その家族は東京の立川で弁当屋をやっていて、大きな犬を飼いたいことと、子どもにぜん息があるため、豊かな自然がある山の中に住みたいという希望を持っていました。紹介した店は駐車場がないという欠点はありましたが、周りに新興住宅街を抱えうまくすれば需要が見込める場所です。しかも近くには、祭りの山車をもっている町内があります。そこで店主に「お祭りの時は、集会所にお店の名前を書いた一升瓶を2本持って挨拶に行くほうがいいよ。そうすればどこの店だろうという話になるから」と伝えました。すると今では町内会の重鎮たちが待ち合わせに使ったり、食事をするようになりました。この店も田舎暮らしの本に取り上げられたり、大好きな犬の雑誌に取り上げられたりして人気のお店になっています。

依田氏がフォローする「ふくくる食堂」の夫婦

 当社は、秩父銘仙織物など絹織物の製造が盛んな秩父で、生糸の卸業を営んだのがスタートです。昭和40年代に不動産業を始めましたが秩父市では古い不動産業者の1つだと思います。したがって地元には祖父の代から付き合っている人が結構いますし、声をかければすぐに親身に相談にのってくれる仲間たちがたくさんいます。そのために地域との関わりは深く、母親からは「お祭りに声がかからないような人が地元で商売は難しい」とよくいわれていました。「今度引っ越してきた人なんだけど、いろいろ教えてあげてくれない?」と言うだけで人の関係が生まれますし、自分から1歩近づけば、田舎の人は2歩3歩と近づいてきてくれます。移住者と移住したい人をつなげたり、新しく秩父に来た人たちと地元の人たちの間にパイプをつくるために動くこと、これは地域の不動産業者にしかできないことだと思います。

 

 

※1 秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町。

※2 広 域 秩 父 産 業 連 携フォ ーラムForum of INDustry collaboration in Chichibu、事務局:(一財)秩父地域地場産業振興センター

※3 2019(令和元)年度は、利用登録者数328件(うち、圏外が277件)、登録数65件、成約件数28件(うち、売買物件25件、圏外成約件数18件、移住目的12件)(秩父市11件、横瀬町6件、小鹿野町5件、皆野町5件、長瀞町1件)。